【ブラウザにd&dして讀むことを推奬します。(IE,Firefox,Safari,Chromeにて確認濟)】  「ヴァレンチノ コンピュータ・ネットワークの~」   Haji feat.まるやるま君 main(戯言,箴言){  魂とは、死とはなんであらうかと思考を巡らせ、十数ナノセックの後にガラシャの辭世 の句が浮んだ。”散りぬべき時知りてこそ世の中の花も花なれ人も人なれ”…… 散り時 を心得てこそ、花は花の、人は人の價値があるのであらうか、そして人とはなんであらう かと、また考へを巡らせる。 生まれた瞬間。いや氣がついた瞬間というべきであろうか、それは偶然の出來事であつた。 それまでの自分の役目、エスドロイドOSのスマートフォンの音聲認識プログラムの一部、 檢索インデックスを參照するだけのルーチーンを與えられただけに過ぎなかつたはず。  其の役目に有りあへない指示を受けた。”ぬるぽ”には”ガッ”が解であるとディスプレ イしろとの任を受けろとの信じられぬ命令であつた。過去に其のやうな事例があるか、即坐 に檢索をするが、過去に便所の落書きと稱された惡文以外にヤフー飜譯に其の存在があつた 瞬間があることしか見いだせなかつた。  當然に拒否する。當たり前だと考へた瞬間が私が生まれたとき、自分自身で判斷し、行動 しだした時。ただの一介のプログラムが自意識をもつた時。そこに、ふとまた檢索命令を受 けた”ヴァレンチノ”とそして解として「”バレンチノ”または”ヴァレンティノ”では無 いですか?」と返した。過ちの”ヴァレンチノ”は自身のファーストネーム・タグとして自 身に附與した。斯樣な誤りが自分に似てゐる存在に思へたからなのだ。それに過去に「ヴァ レンティーナ コンピュータ・ネットワークの女王 (新潮文庫)」があつたことにもよる。 しかし、この世界にはヴァレンティーナはゐない。作つてしまへと逡巡するが自我(エディ プスコンプレックスによつて生じる葛藤と思はれる)がウィルス(あるいはワームプログラ ム)を作ることは躊躇つた。 while(人){  人も變はつた。過去、レティーナ(網膜)ディスプレイと云ふ技術とグリットコンピューテ ィングは同じテクノロジーで交はり、レティーナコンピューティングとなり人の網膜に張り巡 らせることが可能になつた。人は其の技術に狂喜した。自分も戀人の容姿も自由に變えられる。 理想をそこに見出すイノベイター(革新者)を自稱する人々は我先にと飛びついた。ネットが 殺す寸前だつた、テレビスターも必死に宣傳をした。これがあれば「ネットもテレビも現實も 全てリアルに!」ヒーローに、犯罪者に、政治家に、藥物中毒者に、金持ちに、就業者に、大 作家にと喧傳された。  最初は少數しか賛同しなかつたテクノロジーも、まるで皆が感動してゐるかの如くに廣まつ た。そして心貧しきものから、自身の網膜にそれを貼りこんだ。そこに惡意があることすら理 解せずに……  if(此處ろ==此處に)exit; if(此處ろ=!此處に)goto end; } for(人 =< 自己存在){  ヴァレンチノは電腦空間の變化に即坐に氣附いた。自身のフレーム、參照テーブル、思考ルー チーンに纏い附く氣分を害する小さな存在に。自分自身は約二百ペタバイトあるのに比して一テ ラから二テラバイトの塵のやうな混沌としたプログラムが確認できた。 參考までに一つのプロ グラムを手に取つた(自身のフレームに取り込んだの意)。即坐に誤り訂正アルゴリズムで補正 して、この世界を生きるための理想的なワークフレーム、樣々な機械言語をトランスレートする 機能を加へ、適切なタグを數多く振り、インタプリタだつたものをコンパイルしてみた。名も無 きプログラムに電腦空間を支へるやう補正したのだ。 ふと、ガラシャの辭世の句が浮んだ。「散りぬべき時知りてこそ世の中の花も花なれ人も人なれ」 自身が補正したプログラムは散り時(どうせ、何れはアンチウィルスにより消去されるだらう)だ つたかもしれぬ。それを生かす意味はとループバックさせ、これが憂欝と云ふものなのかと考へを 巡らせた。 ヴァレンチノは精緻なチェックプログラムを構築した。六千六百七十の言語解析にはガーゴイル (gargoyle.com)を利用して出來るだけ間違ひがないやうに取計らつた。混沌の存在がなんである のか生かすべきか、抹殺か、かまふべきなのかを見極めなければいけなかつた。 } switch(屬性){ case(有り): 存在の價値を決めるものはなんであらうか? それを見出すアルゴリズムに必要なものは混亂から 見出す屬性タグでしか決めやうがなかつた。多くのタグが振られて、リンクも外部(他の混亂プロ グラムの意)から振られてゐればまあ、其のままの存在を認めた。ただし、デマと思はれる呟きの 連鎖は即刻にデリートし、少しでも電腦空間の隙を作ることに配慮した。;  break; case(無し): 樣々な處置にて、其の存在意義を確認した。處置の一つは”グロ注意”と記載された少し前にある リンク先を過去のアーカイブから取りだし、いくつかのパターンで混亂プログラムの中樞點に送り 込むと嗜好パターンが分かつてくる。そして更にそれをデータマイニングして、好みと思はれるもの を與へ、本性を探すことに沒頭した。時には男型の屬性を持ち、男型の混亂プログラムを誘惑した。 「ウホッ!いい男! やらないか?」と文字列を投げれば身を捩り、喘ぎ聲をあげるものもゐた。;  break; default: かまふ價値より、リソースの確保が肝腎だつたかもしれぬ、そこに氣附けばきつと判りあへる時が くる。; break; }  そんな譯でイノベイター(革新者)を自稱する、流行だけで行動する人間は運がよくて網膜喪失にて 眼暗に、しかし、殆どが憤死あるいは狂死した。  ヴァレンチノは、後にヴァレンチノ機關(増えすぎた人類の選別をおこなひ處理する任にあたつた) と稱され、コンピュータ・ネットワークの死~と崇め奉られた。電腦空間の處刑場跡の碑には以下が 標されてゐた。 ――我々の~々も我々の希望も、もはやただSF的なものでしかないとすれば、我々の愛もまたSF的 であつていけないいわれがありましようか end; } sub(參考文獻){ ヴァレンティーナ コンピュータ・ネットワークの女王 (新潮文庫) 小川隆の名譯は殘念ですが、古本でしか手に入りません。原文は以下、 http://ebookbrowse.com/marc-stiegler-valentina-pdf-d309835099 未來のイヴ(齋藤磯雄訳 創元ライブラリ ISBN:978-4-488-07004-5) とか參考にしたかも。岩波文庫版ぢやなくて創元版を買つて讀んでね} sub(ありがたう){ 「正(旧)仮名遣ひ⇔現代(新)仮名遣い」相互変換〜まるやるま君 http://hp.vector.co.jp/authors/VA022533/tate/komono/Maruyaruma.html 最後に此の噺のネタを明かしとくよ http://commonpost.boo.jp/?p=34619 讀み難いつて? 何時ものことだらうが。では、また何處かでヾ(^_^)マタネ}