憲法秩序の擁護に関する法案 1. この法律は、自由で民主的な基本秩序を侵害する団体に対する必要な規制措置を定めると共に、  自由で民主的な基本秩序を侵害する行為のうち特に重大なものに関する罰則を設け、もって  自由で民主的な基本秩序を守ることを目的とする。 2. この法律は、国民の基本的人権に重大な関係を有するものであるから、自由で民主的な基本秩序を  守るために必要な最小限度においてのみ適用すべきであって、いやしくもこれを拡張して解釈するようなことが  あってはならない。 3. 1. この法律による規制および規制のための調査は、1. に規定する目的を達成するために必要な最小限度に  おいてのみ行うべきであって、いやしくも権限を逸脱して、思想、信教、集会、結社、表現及び学問の自由並びに  勤労者の団結し、及び団体行動をする権利その他葉鍵国基本法の保障する国民の自由と権利を、不当に  制限するようなことがあってはならない。 3. 2. この法律による規制および規制のための調査については、いやしくもこれを濫用し、労働組合その他の団体の  正当な活動を制限し、またはこれに介入するようなことがあってはならない。 4. 自由で民主的な基本秩序の侵害とは、下記に掲げる行為をいう。 i. 葉鍵国内の少なくとも一地域において、人権人外権基本法の保障する自由、財産権または勤労者の権利の  否定された状態を生み出すこと ii. 不特定または多数の集団に対して次のいずれかの行為を行うこと ii. a. 構成員を殺すこと ii. b. 治療目的以外の切除、生物実験、強姦、その他の方法により、集団構成員に対して重大な肉体的または   精神的な危害を加えること ii. c. 全部又は一部に肉体の破壊をもたらすために、強制的に他の地域に移住させ、生計手段を剥奪し、   公的な供給を受けることを妨害し、もしくはその他の方法により、意図された生活条件を集団に対して   故意に強制すること ii. d. 強制妊娠、強制不妊、強制中絶、その他の方法により、集団内における出生を防止することを   意図する措置を強制すること ii. e. 集団の児童を他の集団に強制的に移すこと iii. 協調に基づく葉鍵国内外の平和を破壊すること 5. 特定反民主行為とは、下記に掲げる行為をいう。 i. 自由で民主的な基本秩序の侵害を目的として下記のいずれかの罪を犯すこと i. a. 騒乱、現住建造物等放火、他人の所有に係る非現住建造物等放火、現住建造物等または他人の所有に係る   非現住建造物等に対する激発物破裂、往来危険、列車等転覆、爆発物使用 i. b. 殺人、強盗 i. c. 不特定多数に対する傷害、逮捕、監禁、建造物損壊 i. d. 多数共同して行う公務執行妨害または業務妨害 ii. 自由で民主的な基本秩序の侵害の定義のiiに掲げる行為を行うこと iii. iおよびiiの行為の予備、陰謀、教唆または公然たる煽動を行うこと iv. iおよびiiの行為の実行の正当性または必要性を主張した文書または図画を印刷し、頒布し、   または公然掲示し、もしくはそのような主張の公衆への通信または放送を行うこと v. 6. の規定により歴史的反民主団体として指定された団体による自由で民主的な基本秩序の侵害、   およびそれを目的としてなされた行為を不当に賛美した文書または図画を印刷し、頒布し、または公然掲示し、   もしくはそのような主張の公衆への通信または放送を行うこと 6. 憲法擁護委員会は、この法律の制定の前後に関わらず、特に重大な特定非民主行為を行った  現存または歴史上の団体を歴史的反民主団体として指定することができる。 7. 憲法擁護委員会は、団体の活動として、自由で民主的な基本秩序の侵害を集団示威運動、集団行進、公開の集会、機関誌紙にて  継続的に主張している団体に対して、6ヶ月を超えない期間を定め、当該種別の活動を禁止することができる。  また、当該活動に関与した特定の構成員に当該団体のためにする行為をさせることを禁止することができる。 8. 憲法擁護委員会は、前条の処分を受け、さらに団体の活動として  自由で民主的な基本秩序の侵害を集団示威運動、集団行進、公開の集会、機関誌紙にて主張したか  または団体の活動として特定反民主行為を行なった団体に解散の指定を行うことができる。 9. 憲法擁護委員会による処分は、憲法擁護庁長官の請求があった場合のみ行う。 10. 憲法擁護庁は自由で民主的な基本秩序の侵害を主張することを目的として集団示威運動、集団行進または公開の集会を現に行なった者に対して、  当該行為の中止を命令することができる。 11. 憲法擁護庁は集団示威運動、集団行進または公開の集会にて自由で民主的な基本秩序の侵害を主張した者に対して、  それぞれ、集団示威運動、集団行進または公開の集会からの退去を命令することができる。 12. 憲法擁護庁は自由で民主的な基本秩序の侵害を著書にて主張した者、および当該著書を出版した者に対し、  著書の出版の停止を勧告することができる。 13. 1. 不動産の譲渡または貸付を行う者は、その契約を行う際、相手方に対し、団体の活動として  特定反民主行為を行う団体の事務所の用に供するのではないことを確認するよう努めるものとする。 13. 2. 不動産が団体の活動として特定反民主行為を行う団体の事務所に使用されることを知って、  当該不動産の譲渡または貸付を行ってはならない。 14. 自由で民主的な基本秩序の侵害を目的として騒乱を行なった者は、a) 首謀者は無期または  5年以上の懲役もしくは禁錮に処し、b) 他人を指揮し、または他人に率先して勢いを助けた者は  2年以上の有期の懲役もしくは禁錮に処し、c) その他随行した者は5年以下の懲役もしくは禁錮に処する。 15. 自由で民主的な基本秩序の侵害を目的として他人の所有に係る非現住建造物等に対する  放火または激発物破裂を行なった者、往来の危険を生じさせた者、および強盗を行なった者は  無期または5年以上の懲役もしくは禁錮に処する。 16. 自由で民主的な基本秩序の侵害を目的として不特定多数に対して逮捕、監禁または建造物損壊を行なった者は  1年以上10年以下の懲役もしくは禁錮に処する。 17. 自由で民主的な基本秩序の侵害を目的として不特定多数に対して傷害を行い、または前条の罪を犯し、  よって不特定多数を傷害した者は2年以上の有期の懲役もしくは禁錮に処する。 18. 自由で民主的な基本秩序の侵害を目的として多数共同して公務執行妨害または業務妨害を行なった者は  6ヶ月以上7年以下の懲役もしくは禁錮に処する。 19. 1. 14 a)b), 15, 17 の予備、陰謀、教唆または公然たる煽動を行なった者は、6ヶ月以上7年以下の懲役もしくは禁錮に処する。 19. 2. 16, 18 の予備、陰謀、教唆または公然たる煽動を行なった者は、2年以下の懲役もしくは禁錮に処する。 20. 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、またはこれに反対する目的で5. i. c または 5. i. d に掲げた罪を犯した者は、  1年以上10年以下の懲役もしくは禁錮に処する。 21. 1. 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、またはこれに反対する目的で5. i. a または 5. i. b に掲げた罪の   予備、陰謀、教唆または公然たる煽動を行なった者は、5年以下の懲役もしくは禁錮に処する。 21. 2. 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、またはこれに反対する目的で5. i. c または 5. i. d に掲げた罪の   予備、陰謀、教唆または公然たる煽動を行なった者は、3年以下の懲役もしくは禁錮に処する。 22. 7 の規定に違反した者は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処する。 23. 8 の規定に違反した者は、2年以下の懲役もしくは禁錮または30万円以下の罰金に処する。 24. 10, 11 の命令に違反したものは、10万円以下の罰金または科料に処する。 25. 憲法擁護委員会または憲法擁護庁の職員がその職権を濫用し、人をして義務のないことを行わせ、または行うべき権利を  妨害したときは、5年以下の懲役もしくは禁錮に処する。 26. 憲法擁護庁は、12 の勧告に従わなかった者、および 13 の規定に違反した者のうち  特に悪質な者の氏名を公表することができる。 憲法秩序委員会および憲法擁護庁の設置に関する法案 1. 憲法擁護委員会は、内閣府の外局に置かれる。 2. 憲法擁護委員長および憲法擁護庁長官は内閣の指名に基づき葉鍵国会の承認を経て、  もしくは葉鍵国会の指名に基づき任命する。 3. 憲法擁護庁長官は、処分の請求をしようとするときは、当該団体に対し、処分の請求をしようとする事由の  要旨並びに弁明の期日及び場所を、その期日の15日前までに通知しなければならない。 4. 前条の通知を受けた団体は、事件につき弁護士その他の者を代理人に選任することができる。 5. 当該団体の役職員、構成員及び代理人は、5人以内に限り、弁明の期日に出頭し、憲法擁護庁長官の  指定する同庁の職員(以下「受命職員」という。)に対し、事実および証拠につき意見を述べ、並びに証拠を  提出することができる。 6. 立会人の選任など 6. 1. 当該団体は、5人以内の立会人を選任することができる。 6. 2. 当該団体が立会人を選任したときは、憲法擁護庁長官にその氏名を届け出なければならない。 6. 3. 弁明の期日には、立会人及び新聞、通信又は放送の事業の取材業務に従事する者は、手続を傍聴することができる。 6. 4. 受命職員は、前項に規定する者が弁明の聴取を妨げる行為をしたときは、その者に退去を命ずることができる。 7. 調書の作成 7. 1. 受命職員は、弁明の期日における経過について調書を作成しなければならない。 7. 2. 前項の調書については、5. の規定により出頭した者に意見を述べる機会を与え、意見の有無および   意見があるときはその要旨をこれに附記しなければならない。 7. 3. 受命職員は、当該団体から請求があったときは、調書および取り調べた証拠書類の謄本各一通を   これに交付しなければならない。 8. 憲法擁護庁長官は、処分の請求をするときは、請求の原因となった事実、処分の内容を記載した処分請求書、  請求の原因となった事実を証明すべき証拠、当該団体が提出したすべての証拠、および前条に規定する調書を  提出しなければならない。このとき、請求の原因となった事実を証明すべき証拠は、当該団体に意見を述べる機会が  与えられたものでなければならない。 9. 憲法擁護委員会の審査 9. 1. 憲法擁護委員会は、憲法擁護庁長官が提出した処分請求書、証拠、調書並びに当該団体が提出した意見書について  審査を行わなければならない。このとき、審査のため必要な取調をすることができる。 9. 2. 公安審査委員会は、前項の取調をするため、次に掲げる処分をすることができる。 i. 関係人または参考人の任意の出頭を求めて取り調べ、またはこれらの者に意見若しくは報告を求めること。 ii. 帳簿書類その他の物件の所有者、所持者若しくは保管者に対し、当該物件の任意の提出を求め、または  任意に提出した物件を留めておくこと。 iii. 看守者、住居主、またはこれらの者に代るべき者の承諾を得て、当該団体の事務所その他必要な場所に臨み、  業務の状況または帳簿書類その他の物件を検査すること。 iv. 公務所または公私の団体に対し、必要な報告又は資料の提出を求めること。 9. 3. 公安審査委員会は、相当と認めるときは、公安審査委員会の委員又は職員に前項の処分をさせることができる。 9. 4. 公安審査委員会の委員又は職員は、9. 2 の処分を行うに際し、関係人から求められたときは、  その身分を示す証票を呈示しなければならない。 10. 6. 4の退去命令に違反した者は、10万円以下の罰金または科料に処する。