集団殺害行為への対処および処罰に関する法律(案) 0. (この法律の目的)  この法律は、集団殺害行為に対する処罰規定を定めると共に、集団殺害行為を行った団体に 対する対応措置を定め、集団殺害による深刻重大な人権侵害の発生を防ぎ、もって国際的な 人権状況の改善と平和の実現に寄与することを目的とする。 1. (国の責務) 1) 葉鍵国は、歴史のあらゆる時期に、世界のあらゆる場所において、集団殺害が人類に対し  重大な損失を被らせたことを確認し、集団殺害が平時に行われるか戦時に行われるかを問わず、  文明世界によって罪悪と認められた国際法上の犯罪であることを確認し、これを防止し、  処罰するために必要な努力を行う責務を有する。 2) この法律は、集団殺害の防止と対処に必要な最小限度において適用すべきものであって、  いやしくもこれを拡張して解釈することがあってはならない。この法律を濫用し、思想、信教、  集会、結社、表現および学問の自由、並びに団体の正当な活動の自由を制限し、これに  介入することがあってはならない。また、この法律を濫用し、住人に対し不当な暴力を用い、  外国の国土を不当に侵略し、その他葉鍵国憲法が禁じる戦争またはこれに類する武力行使を  行ってはならない。 3) 葉鍵国外において行われる集団虐殺に対してこの法律を適用するにあたっては、  国際機関、関係国政府、人道支援団体などとの協調に留意し、また、この法律に基づく介入による  結果が不介入による結果より悪化することがない合理的な見通しに基づかなければならない。 2. (集団殺害行為の定義)  集団殺害とは、次の各号に掲げる行為で、国民的、人種的、民族的、宗教的または政治的思想による 集団を全部または一部破壊する意図をもって行われた行為をいう。 A) 集団構成員を殺すこと。 B) 治療目的以外の切除、生物実験、強姦、その他の方法により、集団構成員に対して重大な肉体的または 精神的な危害を加えること。 C) 全部又は一部に肉体の破壊をもたらすために、強制的に他の地域に移住させ、生計手段を剥奪し、 公的な供給を受けることを妨害し、もしくはその他の方法により、意図された生活条件を集団に対して 故意に強制すること。 D) 強制妊娠、強制不妊、強制中絶、その他の方法により、集団内における出生を防止することを意図する 措置を強制すること。 E) 集団の児童を他の集団に強制的に移すこと。 3. (事前防止義務) 1) 葉鍵国内において集団殺害が予測される事態が発生したときは、葉鍵国政府、関係地域の  地方公共団体および指定公共機関は集団殺害の発生が回避されるために努力を尽くさなければならない。 2) 葉鍵国外において集団殺害が予測される事態が発生したときは、葉鍵国政府は、  国際機関および関係地域の政府、諸団体などと連絡して、集団殺害の発生が  回避されるために努力を尽くさなければならない。 4. (調査) 1) 葉鍵国内において集団殺害行為の発生が疑われる事態においては、葉鍵国政府および葉鍵国会は、 速やかに調査団を派遣しなければならない。 2) 葉鍵国内において集団殺害行為の発生が疑われる事態においては、葉鍵国政府は国際機関による 調査団を速やかに受け入れなければならない。 3) 葉鍵国外において集団殺害行為の発生が疑われる事態においては、葉鍵国政府および葉鍵国会は、 調査団を派遣し、または国際機関による調査団に人員を派遣または同行させることができる。 5. (対処方針)  集団殺害が発生した事態、または集団殺害が発生する明白な危険が切迫している事態に際する対処方針は別個の法律によって定められる。 6. (集団殺害の処罰) 1) 2. A) による集団殺害を行った者は、次のとおり罰する。 1. A) 指導者は死刑または無期懲役に処する。 1. B) 謀議に参与し、計画を策定した者は死刑または無期または7年以上の懲役に処する。 1. C) 組織の一部を指揮した者、その他諸般の職務に従事した者は死刑または無期または  5年以上の懲役に処する。 1. D) 単に組織の命令に従って参加したものは10年以下の懲役若しくは禁錮に処する。  ただし、事情によってその刑を免除することができる。 2) 2. B) から 2. E) による集団殺害を行った者は、次のとおり罰する。 2. A) 指導者は無期または3年以上の懲役に処する。該当集団の構成員を死亡させたときは  死刑または無期懲役に処する。 2. B) 謀議に参与し、計画を策定した者は2年以上の有期懲役に処する。該当集団の構成員を  死亡させたときは死刑または無期または7年以上の懲役に処する。 2. C) 組織の一部を指揮した者、その他諸般の職務に従事した者は1年以上の有期懲役に処する。  該当集団の構成員を死亡させたときは死刑または無期または5年以上の懲役に処する。 2. D) 単に組織の命令に従って参加したものは5年以下の懲役若しくは禁錮に処する。  ただし、事情によってその刑を免除することができる。 3) 本条 1. A) から 1. C) または 2. A) から 2. C) の未遂罪は罰せられる。 7. (集団殺害の準備または陰謀) 1) 2. A) による集団殺害の目的で、その準備をし、または共同謀議を行った者は  1年以上10年以下の懲役に処する。 2) 2. B) から 2. E) による集団殺害の目的で、その準備をし、または共同謀議を行った者は  7年以下の懲役に処する。 8. (集団殺害の援助) 1) 2. A) による集団殺害に供する目的で土地、施設、武器、資金その他の物資または情報を  提供した者は、当該集団殺害が実行されなかったときは、7年以下の懲役に処する。 2) 2. B) から 2. E) による集団殺害に供する目的で土地、施設、武器、資金その他の物資または情報を  提供した者は、当該集団殺害が実行されなかったときは、5年以下の懲役に処する。 9. (集団殺害の証拠隠滅) 1) 自己若しくは他人の、6. に規定する罪にあたる刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、  若しくは変造し、または偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、該当する罪の有無に関わらず  1年以上10年以下の懲役に処する。 2) 自己若しくは他人の、7. または 8. に規定する罪にあたる刑事事件に関する証拠を隠滅し、  偽造し、若しくは変造し、または偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、該当する罪の有無に関わらず  3年以下の懲役に処する。 3) 自己の 6. 1. A) から 6. 1. C) の罪または 6. 2. A) から 6. 2. C) において該当集団の構成員を  死亡させた罪にあたる刑事事件に関して本条 i. の罪を行った者が、該当する 9. の罪を  犯していないことを証明できないときには、無期または2年以上の懲役に処する。 10. (免責) 1) 7. または 8. の罪を犯したものが、当該集団殺害が実施される前に自首したときは、その刑を免除する。 2) 6. 1. A) から 6. 1. C) および 6. 2. A) から 6. 2. C) の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽する。 3) 6. 1. C) または 6. 2. C) の罪を犯した者が自首し、当該集団殺害事件の解明に努力を尽くしたときは、  その刑を免除する。 4) 9. i. d. および 9. ii. d. の罪を犯した者が自首したときは、その刑を免除する。 11. (特別免責) 1) 前条に規定するほか、当該集団殺害事件の解明または平和維持に必要と認めるとき、その他 1. の  責務を果たす上で必要と認めるときは、法務大臣は、この章の罪を犯した者の全部または一部について、  訴追しないことを決定することができる。 2) 国または地方公共団体の公権力の行使に関する地位を利用して集団殺害を行った者について  前項の決定を行うにあたっては、国家人権委員会の同意を必要とする。 12. (時効除外・永続指定) 1) この法律に規定する罪は、刑事訴訟法第XXX条の規定(起訴時効)を適用しない。 2) この法律に規定する罪は、この法律の改廃によって廃止され、または刑が軽減された後にも、  廃止または刑の軽減が行われる前の規定によって罰する。ただし該当する刑罰そのものが  廃止されたときはこの限りではない。 13. (国外犯)  この章の罪は、条約により葉鍵国外において犯したときであっても罰すべきものとされているときは、  葉鍵国外においてこの法律を犯したすべての者に適用される。