どらごにっく★あわー!   〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜 ●初期情報 No.Z002103     担当:竹本みかん ―――――――――――――――――――――――  ――ここに1本の動画ファイルがある。  とあるジャーナリストが決死の覚悟で行った取材の成果だ。  内容は、数年前に大都市を襲い陥落させた(あえてそう呼ばせてもらうとしよう)ドラゴン軍指揮官シャンゴの様子を至近距離から撮影することに成功した奇跡の記録である。 『画面に起動時特有のノイズが走る。  映し出されたのはビルの一室。だが、既に壁の一画が崩壊し、その向こうに広がるのはあちこちで炎や黒煙が立ち上る破壊された大都市の姿。  やがて男の荒々しい呼吸音と共に煤で汚れ切った顔が映り込む。 「エホッ、ゴホッ……よし、まだカメラもマイクも生きてるようだな。これならなんとか……」  カメラは再び滅びた街の景色を映し出す。  最早まともな建物の姿はなく、少なくともどこかが破損している灰燼で薄汚れてしまっているビルばかりだ。 「畜生、俺の生まれ育った街が……」  画面が揺れる。  怒りと悲しみでカメラを持つ手が小刻みに震えている。  だが、徐々にその揺れが大きくなる。  音声から何かが崩れ落ちる音と地響きが混ざり合いながら届いてくる。 「くっ、ドラゴンか……ドラゴンがビルを崩しながら近付いて来ているのか……」  それまで外を捉えていた画面が反転し、ドアの方へ向く。そこで何秒か止まったのち…… 「ええいっ、構うもんか! こうなったら徹底的に撮ってやる!」  画面揺れはまだあるものの、カメラは再び外へと向いた。地響きは止むことなく、確実にカメラがある位置に近付いている…… 「来いよ、畜生……かかって来やがれ……」  そして――  画面に突然巨大なドラゴンの横顔が映り込む。  丸く大きな目が小刻みに揺れている。 「……すげぇ。でけぇ。……こいつ、UNDEOでドラゴンを率いているシャンゴとか言われてたやつ……いいや、違うな。どう見ても色が違う……赤くない……」  しばらくドラゴンの横顔を捉えていた画面ががくんと動いた。どうやらジャーナリストは自分のあまりに無防備な姿に気づいたらしい。物陰に身を潜めつつ撮影しているのか、画面の端に黒いものがかぶっている。  画面に映り込んだドラゴン顔はもう映ってはいなかった。カメラに気づかず通り過ぎたらしいのだが、地響きもまた治まっている。  様子をうかがうべく、ゆっくりと動き出す画面。  再び画面に映ったドラゴンは、背中や後頭部ではなく、身体を180度回転させていた。  一瞬、画面がビクッと揺れる。  だが、ドラゴンの目はこちらを向いてはいなかった。そして、その大きすぎる口からなにか言葉のようなものが発せられていた。  そしてドラゴンの視線の先にいるであろう方向から声がする。 「そのようだな。……つまらん。歯ごたえのないことだ」  カメラの画面がブルッと震えた。 「人の言葉……この威圧感……まさか……この壁の向こうにいるドラゴンこそが、あの……?」  明らかに動揺しているジャーナリストを余所にドラゴンはさらに呟いている。 「だが待て。どうせそのうちまた空から向かってくるであろうよ」  その時だった。  突然、銃声が鳴り響く。  1発や2発じゃない。カメラが動いてビルの上や建物の中に銃やロケットランチャーを手にしている兵士達の姿が映し出される。  画面はすぐに襲われているドラゴンを映す。  不意の襲撃におののき、後ずさりするドラゴン。  続けてビルの上から攻撃をする兵士たちの自信に満ちた余裕の表情が映し出される。  だが、次の瞬間には消滅した。  画面が別のものを映し出したわけではない。瞬間的に画面が白い閃光に包まれて焼き付いたのだ。 「う、嘘だろう……」カメラを手にしている男が呟いた。「炎に焼かれて一瞬のうちに誰もいなくなっちまった……」  焼き付きが治まった画面には、焼けただれたビルの成れの果てがオブチェのようにたたずんでいた。 「やっぱりそうだ、間違いない……こいつが……こいつこそがシャンゴ……」  そして、地響きと共に真っ赤な身体のシャンゴとおぼしきドラゴンの姿の胴体が画面に写る。 「愚か者めが! 人間ごときの不意打ちに怯むとは!」  画面がまた震え出す。  しかし、映っているのはドラゴンではなく壁だった。シャンゴというドラゴンを率いているらしい存在がいるであろう方向だ。 「お、俺は間違ったのかもしれない……」嗚咽のようにうわずった声。「このまま何事もなく通り過ぎてくれ…………い、いいや駄目だ。それじゃあ駄目なんだ……」  画面がゆっくりと前へと動き出す。  このシャンゴと呼ばれるドラゴンたちの指揮官の顔や全身を捉えるべく……長い尾……太く巨大な脚……がっしりとした体格であることを伺わせる背中と巨大で立派な翼……  だが、突然カメラが大きく揺れて天井を向いた。 「なっ、ななななな……」男は言葉を失っていた。  画面にシャンゴと呼ばれているドラゴンの顔が映し出される。  どうやら男の存在に気づき、首を伸ばして近付いてきたらしい。 「人間よ、それは我々に抵抗するための武器か? もし、武器であるならば使ってみるがいい」 「あわ、あわわ……あわわわわ……」  驚きすぎている男の口からはまともな言葉は発せられない。あまりの出来事にただただ恐れ動揺しているようだ。  そんな男の姿をを無様に思ったらしいシャンゴは、首を引いて―― 「屑めが……所詮、卑しき存在に過ぎぬか……」  その後、画面の震えはフェイドアウトするまで止まることはなかった……』  この動画を撮影した男は、シャンゴと遭遇した際の恐怖のせいで髪が真っ白に変色していたという。 ――――――――――――――――――――――― ■関連行動選択肢 X019900 その他の自由行動 (担当:???/地域:???) 備考:既存のシナリオや行動選択肢などの枠にとらわれないアクションに挑戦したい、超上級者向けの行動選択肢です。自分の意志で世界を、物語を作っていきたいというコアでディープなプレイヤーにお薦めです。  ただしアクションが採用されなかった場合は一切描写されず、不採用アクション用のリアクションが送付されます。  すでに存在する行動選択肢で事足りる内容と判断されるアクションをこの行動選択肢に送った場合は、それだけで不採用になります。  また必ず行動する地域番号を記入ください。行動する地域によって、採用率は変わります。 ――――――――――――――――――――――― ここに掲載されている行動選択肢は、『どらごにっく★あわー! 〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜』の公式サイト(本サイト)に掲載されない場合があります。 ――――――――――――――――――――――― 個人としてゲームを楽しむための交流の範囲を越えない場合に限り、この「初期情報」の複製、サイトへの転載を許可します。著作権等の扱いについては、本サイトを参照ください。 copyright 2009-2010 ELSEWARE, Ltd. ―――――――――――――――――――――――