どらごにっく★あわー!   〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜 ●初期情報 No.Z001903     担当:獨伝把奥郎 ―――――――――――――――――――――――  俺の名はジョン・ドゥ。  故あって肉体を失い、声だけになった男だ。  まあ、身体が無いから俺が本当に男なのかは、証明しようがないのだが。  声だけの存在である俺にできることは語ることだけだ。  まあそんなわけで、俺の無駄口に少し付きあって貰おう。  埼玉県立大東京中等教育学校。  実は校長からこの学校について誰もが判るように説明してくれって頼まれたのだが。  しかし、なんで俺がそんな事をやらなきゃいかんのかなあ……。俺は立場的には一介の生徒なのに。肉体無いけど。  まあ愚痴っていても仕方ない。始めるか。  解説しよう。  ここ埼玉県立大東京中等教育学校はどこにでもある中高一貫校。ただちょっと普通と違うのは世界で始めてドラゴン退治がカリキュラムとして取り入れられた学校だということかなー。説明終わり。  ……5行で終わる説明で終わらせようとしたら、校長にメチャクチャ怒られた。『実体あったらもぐぞ?』って言われたし。どこがもがれるのかは精神の健康を考えて想像しない事にしよう。  ああそうだ、いい機会だから校長についても解説しておこう。  金澤幸恵校長。  地味だが伝統だけはあったこの学校を、今のようなドラゴン狩りとかする独創的な校風に変えた張本人。そのおかげで少子化が問題となる中、生徒数が増えているというのだから、世の中なにが受けるか判らんというか……。  そういう功績もあってか、校内における彼女の権限は絶大であり、一般的な校長の権限を凌駕していてぶっちゃけ独裁者である。今のところ独裁ぶりはプラスの方向に作用しているようだが。  あと32歳独身。  その権限をもってしても旦那は見つけられないようだなー! とか言うと確実にもぎとられるから言わないようにしような、みんな。  さて、あとはなにを説明すりゃいいだろうか?  えーと、確か公式の学校のパンフには『生徒の自主性を重んじる自由な校風』とか書いてあったような気がするな。でも俺は肉体が無い故にいつでもどこでもフリーダム全開だしなあ。あんまり自由とか言われても実感ないというか。まあ俺みたいな存在が生徒になってるのが自由な校風の証拠なのかもしれないが。  さて、ドラゴン退治とかしているとはいえ、ここは一応学校だ。ベオウルフが多く在籍するとはいえ、比率からすれば一般人のほうが多いし、基本的な部分はその辺の学校と変わらない。  そういう当たり前の部分は解説しても意味がないから省くとして、後はどうするかな。  おや、あそこにいる女子生徒は……? 「やあ優等生」  俺は“彼女”に声をかけた。 「うわ、誰もいないのに声が!?」 「いや、俺だって」  俺は声しか存在しない男。  普通に話しかけただけでも驚かれてしまう。  まあ、もう慣れたけどな。 「……なんだ、ジョンか」  彼女は高等部2年雛妓朋子。  年に一度行われるクラス対抗竜退治大会で、二年連続最優秀選手賞を手にした才媛だ。  中等部からこの学校にいる彼女だ。実体なき声だけの俺にもそれなりに慣れている。それでもいきなり声かけるとちょっと驚かれるが。 「実はカクカクシカジカというわけで、この学校を解説しないといけないので、協力してくれ」 「いきなりそんな……私、これから部活だし」 「ああ、テニス部だったか」 「久しぶりなのよ。最近、ドラゴン退治が忙しすぎてなかなか行けなくって」 「優等生のお前なら、もう単位はとっくに取っているだろう?」 「そうだけど、手伝ってくれって頼まれたら断るの悪いし」  うーん、今時珍しいいい子だなあ。 「じゃあ俺の頼みも断らんでくれ」  そしてそれにつけこむ悪い奴である俺。 「そう言われても……」 「よし、協力してくれるか。それでなんかこの学校ならではのものってあったっけ?」 「ちょっと! 協力するって言ってないわよ! 勝手に話を進めないでよ!」」 「気にするな。俺はもう気にしない事にしたぞ」  10分後。 「というわけでみんなが憧れる我が校のアイドル、雛妓朋子ちゃんがイチオシの名所、グラウンド脇の飛行機発着場に来ています」  トリガーが複葉機というベオウルフ生徒のため、この学校にはそんなものまである。 「だーかーらー、アイドルとか恥ずかしい事言わないでよ!」  律儀にも付いてきている朋子。 「……まあ、しかしだ」  飛行機の発着場といっても小さな複葉機のためのものだ。滑走路の長さン千メートルもあるようなジェット旅客機の飛行場ではない。  ぶっちゃけると、グラウンドの脇が整地されてるだけである。 「他の学校には無いモノであるのは判るが、なんか絵にならねー」 「絵にならないってなによ……」 「ああそうだ、雛妓に脇に立ってもらって、『飛び立つ複葉機の巻き起こす風でスカートめくれそう』的なシーンをだな」 「やらないわよ」 「さあ気をとりなおして、新たな我が校の名所! 身体無い俺には関係ないけど育ち盛りの学生には必要不可欠な学食にやってきたぞ!」  だが学食には誰もいなかった。 「放課後なんだから、誰もいるわけないでしょ?」  とまだ付いてきてくれている朋子。  まあ、確かに学食の営業時間は昼休みだけだ。誰もいるわけがない。 「うーむ、身体無くてモノを食えない俺には縁遠い場所だしな。実はここに来るのも初めてだし、どんなメニューがあるかも知らん」 「そうなの?」  それを聞いて気の毒そうな顔をする朋子。 「ああ、モノを食えないのは空腹感も無いからどうとも思わないが、酒を飲めないのと煙草を吸えないのは少々キツいな」 「高校生のセリフなじゃないわね……」  ……俺の実年齢は秘密だ。 「まあ、来た事はないが、噂ぐらいは聞いている。確か、限定メニューの『ドラゴンの大和煮』が人気なんだったか?」 「うーん、まあ、人気はあるんじゃないかな。私は苦手だけど。あとそれ、最近、限定メニューじゃなくなったのよ」 「ん? ああ、それもそうだな」  連続ドラゴン襲撃事件。  この学校が連続でドラゴンに襲撃され一件だ。  ドラゴン料理が限定メニューなのは、ドラゴンの肉が稀少というか、通常の流通ルートで入手できるものではないことによる。直接ドラゴンを狩るくらいしか入手手段がない。そして、連続ドラゴン襲撃事件によって多数のドラゴンを倒したこの学校はドラゴン肉には困らない状況なのだろう。 「もう日替わりランチメニューにも欠かさずドラゴン料理がついてくるくらいだから」 「そこまでドラゴンの肉余ってるのか。……それで、ドラゴン料理苦手な雛妓はどのメニューが好きなんだ?」  この学食は値段が安く、品数も多いらしい。モノを食えない俺はそうだって評判を聞いただけだが。 「えーと、五目あんかけうどん」 「……渋い選択だなオイ」 「いや、本当に美味しいんだって。うどんにもコシがあって、ダシの効いた根菜メインの五目あんが絶妙で」 「聞けば聞くほど渋い選択であることを証明している気がするが……。参考までに2番目に好きなメニューは?」 「煮物定食」 「やっぱり渋い選択じゃねえか!?」 「いやいや、これの煮物のレンコンと大根の食感がシャキシャキとほっこりでもう」 「どんだけ根菜好きなんだお前!」  ……うーむ、いろいろやって、この学校きっての優等生の味覚が渋すぎる、というかその味覚文明開化以前ですよ? という事を証明しただけのような気もするが、まあ、この学校の特色をとりあえず紹介できたような気もしなくない。  そういうわけでこれをこのまま校長に報告しちまえー。  あとはなるようになればいいさー。 ――――――――――――――――――――――― 「マスターより」  獨伝把奥郎です。  埼玉県立大東京中等教育学校を紹介する初期情報です。   ■関連行動選択肢 X018805 埼玉県立大東京中等教育学校のベオウルフとして行動する (担当:???/地域:???) 備考:主に、ユニオンの構成員に対してアクションをかけたい場合に選択する行動選択肢です。地域名はアクションに応じて記入ください。  既存のシナリオや、すでにある行動選択肢などの枠にとらわれないアクションに挑戦したい、上級者向けの行動選択肢です。  すでに存在する行動選択肢で事足りる内容と判断されるアクションだった場合は、不採用になる場合がありますので、ご注意ください。  アクションが不採用となった場合は、不採用アクション用のリアクションが送付されます。 X019900 その他の自由行動 (担当:???/地域:???) 備考:既存のシナリオや行動選択肢などの枠にとらわれないアクションに挑戦したい、超上級者向けの行動選択肢です。自分の意志で世界を、物語を作っていきたいというコアでディープなプレイヤーにお薦めです。  ただしアクションが採用されなかった場合は一切描写されず、不採用アクション用のリアクションが送付されます。  すでに存在する行動選択肢で事足りる内容と判断されるアクションをこの行動選択肢に送った場合は、それだけで不採用になります。  また必ず行動する地域番号を記入ください。行動する地域によって、採用率は変わります。 ――――――――――――――――――――――― ここに掲載されている行動選択肢は、『どらごにっく★あわー! 〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜』の公式サイト(本サイト)に掲載されない場合があります。 ――――――――――――――――――――――― 個人としてゲームを楽しむための交流の範囲を越えない場合に限り、この「初期情報」の複製、サイトへの転載を許可します。著作権等の扱いについては、本サイトを参照ください。 copyright 2009-2010 ELSEWARE, Ltd. ―――――――――――――――――――――――