どらごにっく★あわー!   〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜 ●初期情報 No.Z001902     担当:獨伝把奥郎 ―――――――――――――――――――――――  俺の名はジョン・ドゥ。  故あって肉体を失い、声だけになった男だ。  まあ、身体が無いから俺が本当に男なのかは、証明しようがないのだが。  声だけの存在である俺にできることは語ることだけだ。  まあそんなわけで、俺の無駄口に少し付きあって貰おう。  埼玉県立大東京中等教育学校。  俺はいろいろあって、この学校に一生徒として在籍していた。  そしてとある日の放課後。  俺は校内をぶらついていた。  放課後じゃなくてもよくぶらついている。  一応、ここの生徒という立場だが、実体が無い声だけの存在なので授業抜け出しても気づかれる事はまずないし。  ぶらつく目的は特に無い。俺にできるのは語ることだけだ。他にやることもできることもない。いつだって暇を持て余している。  まあ、それはさておき、今は放課後だ。 「……おや、あれは」  俺の前方……実体が無い俺に前も後ろもあるのかと言われれば俺にもよくわからんが、まあ便宜上、“前方”に小柄な人影を見かけた。  小柄も小柄、どう見ても10歳くらいにしかみえない少女だ。もちろん彼女はここの生徒ではない。それを俺は知っていた。  俺は彼女に声をかける。 「よぉ嵐子。何してるんだ?」 「……ジョンか。私はお前の担任だぞ。建牧先生と呼べと言っただろう」  建牧嵐子。  この学校の教師だった。  実体が無い俺がいきなり声をかけても驚かれないくらいの顔見知りだ。俺には顔無いけどな。  嵐子の外見は10歳児くらいにしか見えないが、実年齢は確かに29歳。外見がなぜちびっ子かというと、まあ、いろいろあったのだ。  あ、嵐子に『むしろ身体が子供のほうがいい』とか言うの禁止な。あいつ、ロリコン嫌いだから。ロリコンがいたら殺そうとするから。マジで。生徒でも容赦なく。 「おいおい、俺が誰の事をどう呼んだっていいだろう?」  俺は語る事しかできないんだ。せめて好き勝手に無駄口を叩かせてくれ。 「……ふん。その口を黙らせようにも、それは誰にもできない、か」  嵐子はでかい石を抱えていた。それがこいつのトリガーだった。一応、取っ手代わりにもなるらしいでっぱりがあるので本人は石棍棒と言い張っているが、いつ見ても漬物石の親戚にしか見えない。 「で、最初の質問に戻るけど、何してるんだ?」 「スカウトだよ。私はXYZ組の担任だからな。ドラゴン退治するのに、ウチの学校のエースを入れないわけにはいかない」  対ドラゴン対策特別学級、XYZ組。  大東京中等教育学校への連続ドラゴン襲撃事件を経て設立が決まったもので、今後もいつドラゴンの襲撃があるか判らないので、他ユニオンのベオウルフに一時的に生徒として在籍してもらおう、というものらしい。  他ユニオン所属じゃないこの学校所属のベオウルフもこのXYZ組への編入が推奨されている。何故か俺もそこの所属になっているし。 「……そんなにXYZ組への編入希望は集まりが悪いのか?」 「まだ始まったばかりだから判らん。そもそも今の所、XYZ組生徒で確定しているのはお前だけだ」 「ならばなんでわざわざスカウトに?」 「他ユニオンへの協力を頼んでいるのに、お前みたいな戦力にならないのしかいなかったらマズイだろう」 「まあ確かに俺は語る事しかできないが」 「こちらも優秀なベオウルフを用意しないとな。クラス対抗竜退治大会で、二年連続最優秀選手になったのがいただろう。あの娘をウチのクラスに入れないとな」 「……あの、御免なさい建牧先生。これ以上ドラゴン退治が忙しくなって部活に出られなくなっても困るし……その、すみません!」  我が校期待のベオウルフ、二年連続最優秀選手の雛妓朋子にいきなり編入誘いを断られた。 「これから部活なんで、失礼します……」  そう言って去っていく朋子。 「……断られたけどどうするよ嵐子? まあ、トモちゃんは前からドラゴン退治じゃなくてテニス部でエースを狙いたいって言ってたから、こうなる事はしょうがないが」 「トモちゃんって、あの生徒とずいぶん親しげだなジョン?」 「ああ、トモちゃんとはこの前、好きなバラモスはバラモスブロスかバラモスゾンビかで熱く語り合った仲だ」 「どんな話題だそれは……」 「ちなみに俺がバラモスブロス派で、トモちゃんがバラモスゾンビ派だ。やっぱり、渋い趣味だよなあの娘は」 「渋さの基準がよく判らん……」  そう言いつつ、嵐子は考え込む。 「しかし、惜しいな。雛妓ほどスジのいいベオウルフに断られるとは……」  嵐子は一応、現国担当の教師だが、ドラゴン退治の指導教官という立場がメインだ。外見ちびっ子だけど、ベオウルフとしては嵐子は相当な腕前だ。あの漬物石のトリガーでちびっ子がドラゴンを力任せに撲殺する姿は一度見たら夢に見る。悪夢に。  それにひきかえ現国の授業のほうはすげえ雑だった。『判らないことがあったらググれ』って言うくらい雑だ。 「まあ本人にその気がないのなら、雛妓をウチのクラスへ編入させるのは今後の課題としよう」 「……諦めてないのか?」 「当たり前だ。しかし、これ以上私が説得してもどうにかできそうもないな」 「ああ、嵐子はどっちかというと説得より脅迫畑の人だしな」 「黙れジョン。実体があったら泣いたり笑ったりできなくさせてやるところだ。ああそうだ、雛妓をウチのクラスに編入させる事に成功した奴には単位をやるというのはどうだろう?」 「なんかそのうち、拉致とか誘拐とかされて連れて来られそうだなトモちゃん……」 ――――――――――――――――――――――― 「マスターより」  獨伝把奥郎です。  XYZ組への参加は性別、年齢は問われません。  ただ、校則なので制服は着てもらいます。 ■次回行動選択肢 A011900 「対ドラゴン対策特別学級XYZ組」 (担当:獨伝把奥郎/地域:117) 備考:所属ユニオン、年齢などの制限はありません。ただし制服の着用は義務となります。 ――――――――――――――――――――――― ここに掲載されている行動選択肢は、『どらごにっく★あわー! 〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜』の公式サイト(本サイト)に掲載されない場合があります。 ――――――――――――――――――――――― 個人としてゲームを楽しむための交流の範囲を越えない場合に限り、この「初期情報」の複製、サイトへの転載を許可します。著作権等の扱いについては、本サイトを参照ください。 copyright 2009-2010 ELSEWARE, Ltd. ―――――――――――――――――――――――