どらごにっく★あわー!   〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜 ●初期情報 No.Z001901     担当:獨伝把奥郎 ―――――――――――――――――――――――  俺の名はジョン・ドゥ。  故あって肉体を失い、声だけになった男だ。  まあ、身体が無いから俺が本当に男なのかは、証明しようがないのだが。  声だけの存在である俺にできることは語ることだけだ。  まあそんなわけで、俺の無駄口に少し付きあって貰おう。  埼玉県立大東京中等教育学校。世界初の竜退治を授業に取り入れてる学校。ベオウルフが通うならいろいろと便利な学校だ。元ベオウルフの俺が言うのだから間違いはない。  そう、元だ。  肉体のない俺にはトリガーを手にする事もできないわけで、もうベオウルフとしては役立たずって事だな。  そんな俺はいろいろあって、この学校に一生徒として在籍していた。“いろいろあって”じゃ判らない? まあ大雑把に言うとここの校長は変人という事だな。俺みたいなのを生徒として認めてしまうくらいには。  俺の実年齢? もう忘れたよそんなことは。  さて、話をすすめよう。  今、俺はとあるドアの前にいた。  実体がないからそこに何が『いる』のかは俺本人にもよく判らんのだが。 『吉外リッチー研究室』  ドアのプレートにはそう書かれてる。  講師でありながら、何故か校内に個室の研究室を持つリッチーの部屋の前だ。 「おーい、リッチー。いるかー? なんか校長が報告書早く出せって言ってたぞ。お前の報告がないと話が始まらないって」  俺はドアの向こうに声をかける。  実体の無い俺がどうして声を出せるのかは、やはり謎だった。 「……おかしいな。いないのか?」  俺はドアを開けずに中に入る。  そう、開けずに、だ。  俺には実体が無い。どこにでもいるかもしれないし、どこにもいないかもしれない。  そもそもドア開けられないんだがな。  部屋の中、リッチーの椅子に腰掛けていたのは、  骸骨だった。  肉が完全に削げ落ちた白骨。  理科室とかにある骨格標本のアレだ。  それが白衣を着て座っている。 「リッチー……」  返事は無い、ただのしかばねのようだ。      どらごにっく★あわー!            完 「待たんかオラ」  骸骨が立ち上がって言った。 「始まる前から終わらせるとは何事かね!?」 「そういうのも、斬新かと思った。反省はしていない」 「お前がボケると話がややこしくなるから止めろと言ってるじゃろ」  この骸骨、動く骨格標本が吉外リッチーだった。俺には肉体が全部無いが、リッチーには骨だけはある。骨だけでどうやって思考して動いているのかは俺と同じようにやはり謎だった。 「……で、例の事件の報告書じゃったな」  例の事件……この学校がドラゴンに立て続けに襲撃された事だ。襲撃して来たドラゴンはすべて同じタイプの多頭竜、地中を掘り進んできて学校近辺で現れるという同一の襲撃方法だった。 「それについてはコレから興味深い事がわかった」  リッチーは一台のノートパソコンを指して言う。 「……なんでパソコン?」 「あれは襲撃していたドラゴンが持っていたものじゃよ」 「ドラゴンがパソコン持ってるのかよ!?」 「持っていたんだから仕方ないじゃろ」 「どうやって操作するんだよ!?」 「まあ、上級のドラゴンは人間形態に変身できるというし、できなくても尻尾の先とかでキーボードを操作したりするじゃなかろーか」 「壮絶に器用な尻尾だな……そもそもドラゴンがパソコン使って何するんだ?」 「うむ、ハードディスクの容量の9割はエロゲーがインストールされておった」 「エロゲーかよ!?」 「もうパソコン持ってる理由はエロゲーするのが主目的っぽい。ネットに繋げた形跡無いし」 「どこまで駄目なドラゴンだ」 「しかもこいつらの一族、みんなこんな感じらしいぞ。日記らしいテキストが残っていたんじゃが」  リッチーはパソコンを操作して、その日記らしいテキストを表示させた。 『やっぱりボスはハンパネェっすよ。1秒間ロリ70回発言はいつ聞いてもすげえっ』 『ボスの言う通り女は10代前半のふくらみかけが一番っすね』 『先遣隊に入って人間界にエロゲーと女の子調達のために来たっす。お偉いさん達はみんなエロゲー買いに行っちゃったんで俺は少女浚いに行くっす。ベオウルフのロリはレア度高くて捕まえたらボス喜ぶっす』  なんかすごく頭が悪い文章が並んでいた。 「……そもそもなんでこいつは日本語で書いているんだ?」 「さあ? エロゲーで覚えたんじゃないかのう。じゃがこれで連続襲撃事件の真相が判明した」 「……まさか」 「そう、ロリコンのドラゴンが少女を狙っているんじゃよ」 「な、なんだってー!?」  そういや、襲撃してきたドラゴンは中等部校舎を狙っていたとか。あれも目的がそうだからか? 「ざっと調べた所、エロゲーもロリキャラ攻略可能なものばかりじゃよ」 「いやしかし、学校なら他にもあるだろう。なぜここだけが連続で襲撃されるんだ?」 「どうもベオウルフの少女が珍重されるらしいからじゃろ。この学校はティーンエイジャーのベオウルフがごろごろいる世界的に見て珍しい環境だからのう」  変態のドラゴンに目をつけられるとは……。 「……迷惑以外の何者でもないな」 「迷惑どころの騒ぎじゃないわい。エロゲーを調達しにいったと言う事は、人間に変身できるジェネラルドラゴンが複数いるということじゃぞ。秋葉原にドラゴンが出たという話は聞かないしの。それが先遣隊だというからドラゴン世界には変態ドラゴンの大物が控えているわけじゃ」 「……これからは、さらに厄介なドラゴンが襲撃してくるって事だな」  まったく、大迷惑だ。  リッチーのこの報告を受けて大東京中等教育学校校長の金澤幸恵は他ユニオンに救援を要請。  対ドラゴン対策特別学級、XYZ組が設立される事になる。  このXYZ組、いつドラゴンの襲撃があるか判らないので、他ユニオンのベオウルフに一時的に生徒として在籍してもらおう、というものらしい。  まあ、学校内のベオウルフも希望者はXYZ組に転属となるらしいが。  え? 俺も転属するの?  まあいいけど、俺は語るだけで何もできないぞ。 ――――――――――――――――――――――― 「マスターより」  獨伝把奥郎です。  XYZ組への参加は性別、年齢は問われません。  ただ、校則なので制服は着てもらいます。 ■次回行動選択肢 A011900「対ドラゴン対策特別学級XYZ組」 (担当:獨伝把奥郎/地域:117) ――――――――――――――――――――――― ここに掲載されている行動選択肢は、『どらごにっく★あわー! 〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜』の公式サイト(本サイト)に掲載されない場合があります。 ――――――――――――――――――――――― 個人としてゲームを楽しむための交流の範囲を越えない場合に限り、この「初期情報」の複製、サイトへの転載を許可します。著作権等の扱いについては、本サイトを参照ください。 copyright 2009-2010 ELSEWARE, Ltd. ―――――――――――――――――――――――