どらごにっく★あわー!   〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜 ●初期情報 No.Z001307      担当:菅野紳士 ―――――――――――――――――――――――  いつも無口で、遠くを見ているような目をしていて。  イマイチなにを考えているのか、よく分からない人。  【あなた】が配属されたベオウルフ部隊の隊長は、そんな印象の人物だった。  女性がてら、実力だけで今の地位についたと聞いているものの、指揮官という立場もあって彼女の戦いを、直に目にする機会はなかった。  歳も【あなた】と、それほど離れているわけではない。  自分だって、それなりの修羅場をくぐり抜けて来たのだ。そんな彼女と、自分に一体どれほどの差があるというのか。  正直、それぐらいにしか思っていなかった。  そんな印象を全てひっくり返されたのは、目の前に広がる光景のせいだった。  ここはドラゴンとの戦いにより廃墟となった、小さな町。  先の戦いで侵略を食い止め、【あなた】の部隊は残党を狩るために、遅れてやってきたのだった。  しかしそこで待っていたのは、増援により体制を立て直したドラゴンの群れ。  すでに本隊が引き返した後とあり、【あなた】は部隊の全滅も覚悟していたのだ。  ところがそんな中で、ただ一人顔色を変えずに一騎当千を果たす武人がいた。  隊長だ。 「逃げるまでの時間を作る」と、飛び出した隊長は、そのままドラゴンの群れへと立ち向かう。  そして愛用のトリガーである『戟』を振り回し、十数匹のドラゴンを、まとめて切り捨てたのだ。  その剣さばきは、さながら美しい舞を披露しているかのよう。一瞬にしてドラゴンの死体が築かれていく様子は、まさしく死の舞だった。 「すごい……」  それ以上の言葉が浮かばず、【あなた】は呆然と立ち尽くすことしかできない。  この隙に部隊は退却。  隊長も後から追いつき、【あなた】たちの部隊は、無事、生還を果たしたのだ。 「――あぁ、そりゃムーヴだな」 「ムーヴ?」  そんな出来事について【あなた】が話をしていたのは、同じ部隊の先輩ベオウルフ。  彼は部隊に配属されて長い、ベテラン。隊長とも古い付き合いなのだと言う。 「ムーヴってのは、ベオウルフが訓練を積むことで身につける奥儀みたいなものさ。隊長はその達人なんだよ」 「ベオウルフの奥儀ですか」 「隊長が使ったのは『無双演武陣』って技だ。演武みたいに豪快に戟を振り回して、周囲の敵をまとめてなぎ払うんだよ」 「それじゃ隊長のあの強さは、ムーヴによるものだったのですね」 「言っとくけど、隊長一人の活躍だと思うなよ。俺が援護したからうまく逃げられたんだ」  と、親指を突き立て、先輩が自己主張。  彼が特別目立つような働きをしていた記憶はないのだが、とりあえず頷いておいた。 「でも、あんなにすごい技が使えたら、ベオウルフとして大きな力になるでしょうね」 「まあな。隊長が俺たちとはケタ違いの強さを持っているのは、間違いないぜ」 「隊長のあの技、他の人でも使えるのですかね」 「なんだお前、そんなにムーヴに興味があるのか?」 「えっ? いや、まあ……」  図星を突かれ、思わず顔が蒸気する。  そんな【あなた】の反応に、先輩がにやにやと唇の端を歪めていた。 「ふ〜ん、お前がムーヴをねぇ」 「べ、別にベオウルフとして強くなりたいと思うのは当然じゃないですか。まして、トリガーも隊長と同じ戟ですし」 「なるほどねぇ。まあ、そこまで思うんだったら、教えてもらえばいいじゃん。――隊長直々にさ」 「ええっ!」  これには慌てて、首を横に振る。 「む、無理ですよ! 隊長とそんなちゃんと話したこともないんだし」  それに今まで彼女のことを見損なっていた後ろめたさもある……。  今さら隊長に対して、どんな風に接すればいいのやら。【あなた】には想像することもできなかった。 「ムーヴには興味ありますが、今すぐ使えるようになりたいと思っているわけじゃないですから。もういいですよ、この話は」 「そうか? そいつは残念だな……」 「――で、私に話とは?」  あれから分かったことだが、どうやら先輩は人の嫌がる姿を見るのが、大好きな人らしい。  【あなた】の目の前で腕組みをしているのは、件の隊長。  どうやらあの後、先輩はこっそりと隊長に話をつけていたらしい。  それもご丁寧に、「なにか用があるらしいぜ」と、要点をぼかした言い回しで。 「私に用があるんじゃないのか」 「え、えっとですね……」  こうして面と向かってしまうと、ますます言葉が出て来ない。  真っ直ぐにこちらを見据える隊長の瞳から逃げるように、【あなた】は視線を右往左往させるばかりだった。  視界の端で、物影から顔を出した先輩の姿を見つける。距離があるため、表情は確認できないが、どんな顔かは分かりきっている。  恨み節を吐きたい気持ちを抑え、【あなた】は奥歯を噛みしめた。  とは言え、このまま本当に黙っているわけにもいかない。心を落ち着かせるために、静かに深呼吸をひとつ。  やがて顔を上げた【あなた】の口から出てきた言葉は―― ――――――――――――――――――――――― 「マスターより」  この初期情報はムーヴの紹介用テキストです。各シナリオとは関係しませんので、ご了承ください。 『無双演舞陣』  目にも止まらない速度で戟を振り回し、周囲の敵にダメージを与える技です。 ■関連行動選択肢 M018800 ムーヴ修得の旅に出る (担当:???/地域番号:???) 備考:ムーヴ修得のための専用の行動選択肢です。一定の確率でムーヴの修得に失敗します。またムーヴをすでに修得している場合、より修得に失敗しやすくなります。  希望するムーヴがある場合は、その名前をアクションシートに記入ください。高い確率で希望のムーヴを修得できます。  なお、無記入や存在しないムーヴ、トリガーの合わないムーヴ名が記入されている場合、修得できるムーヴはランダムとなります。  また、この行動選択肢のリアクションは、基本的に小説形式ではなく、PCの描写はありません。 ――――――――――――――――――――――― ここに掲載されている行動選択肢は、『どらごにっく★あわー! 〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜』の公式サイト(本サイト)に掲載されない場合があります。 ――――――――――――――――――――――― 個人としてゲームを楽しむための交流の範囲を越えない場合に限り、この「初期情報」の複製、サイトへの転載を許可します。著作権等の扱いについては、本サイトを参照ください。 copyright 2009-2010 ELSEWARE, Ltd. ―――――――――――――――――――――――