どらごにっく★あわー!   〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜 ●初期情報 No.Z001305      担当:菅野紳士 ――――――――――――――――――――――― 「久し振りね」  戦場の真っただ中。  いつ命を落とすとも分からない危険な場所へとやってきた【あなた】を出迎えてくれたのは、狂暴なドラゴンでも、屈強な戦士でもない。  【あなた】の前に立っていたのは、見知った少女だった。  いや、確かに彼女は戦士であるし、凶暴というか、厄介という意味では間違っていないかもしれない。  彼女は【あなた】と同僚のベオウルフなのだ。  同じ日に同じユニオンに入団し、同じ任務を請け負い励んでいた。言わば腐れ縁というやつだ。  トリガーも【あなた】と同じ槍だった。  そんな間柄のせいだろうか。彼女は【あなた】に対抗心を燃やしているらしく、なにかと突っかかってくるところがあるのだ。  近頃は別の任務に当たっていたこともあり、しばらく顔を合わせずにすんでいたのだが……。 「こんなところで、また会う羽目になるなんて……」  思わず【あなた】は、ため息を吐いた。 「ずいぶん浮かない顔ね。これからドラゴンと戦うには、覇気が足りないんじゃない?」 「別にそんなことはないけど……」 「ふ〜ん?」  【あなた】を値踏みするように、少女が視線を上下させる。 「なにか?」 「全然変わってないと思ってね」  そう言うと、少女はつんと鼻を上に向ける。 「どうせ、ドラゴン退治をサボっていたか、ソルジャー種の雑魚ばかりを相手にしていたんじゃないの? 言っとくけど、あたしはすでにコマンダードラゴンも相手しているんだから」 「へぇ、コマンダードラゴンねぇ……」 「あっ、信じてないわね! あんたと違って、あたしは秘密の特訓をしてきたのよ。今のあたしなら、シャンゴやファフニールだって、目じゃないわ!」 「はいはい、そりゃ大したものだ」  彼女の虚言は今に始まったことではない。  秘密の特訓とやらも、大方「初心者から始めるドラゴン退治」みたいな、胡散臭いハウトゥー本を読んだとか、そういう話なのだろう。  なんてことを思いながら、ふいに空を見上げると。  【あなた】は瞬時に顔を強張らせた。  頭上で聞こえた、風を切るような甲高い音。それはこちらに気がつき、上空から急降下する飛竜の鳴き声だったのだ。 「来たぞ、お喋りは終わりだ!」  槍を手に、【あなた】が臨戦態勢を取る。  少女とのやり取りで気の抜けた心を奮い立たせ、意識を鋭く尖らせる。  相手は空を飛んでいる。うまく投擲で当てれば、一撃で落とせるかもしれない。  しかし外せば、大きな隙を生む危険もある。予備の槍は手元にないのだ。  いや、仮に命中したとしても、致命傷に至らない可能性も……。 「危険な賭けだが、あまり長引かせたくもないしな」  思考を巡らせながら、槍を握る手に力を込める。  ――ところがそんな【あなた】とは対照的に、少女はどこかイラだたしく。 「なによ、単なる雑魚じゃない」  ふんと鼻を鳴らすと、少女は槍を自分の肩に乗せる。 「丁度いいわ。あたしの特訓の成果、見せてあげるわよ」  頭上から飛来するミサイルのようなドラゴンの軌道に対して、少女は真正面から仁王立ちで対峙する。 「お、おい! なにを考えてんだ!」  これには【あなた】も少女の肩を引くが、彼女はがんとして動かない。  自信に充ち溢れた丹精な横顔を、焦る気持ちと、ほんの少しばかりの魅力にやられ、じっと見つめることしかできなかった。  そしてそれらの感情は、次の瞬間には驚愕に上書きされることとなった。 「えっ……?」  【あなた】が目にしたもの。それは少女の手の中で眩しいほどに光輝く、黄金の槍だったのだ。  バチバチと連続した破裂音を鳴らし、不規則なリズムで発光する槍。それは電気が火花を散らす様子に似ていた。  やがて、火花が十分に槍全体を包み込んだとき。少女はそれを力一杯、ドラゴン目掛けて投げつけたのだ。  空へ吸い上げられていくように、真っ直ぐ飛んで行く雷の槍は、まさしく天地が逆転した稲妻だ。  落雷を思わせる轟音とともに、それはドラゴンの喉元に突き刺さった。  稲妻は一瞬で、ドラゴンの全身へと伝わり、空中で巨大な白熱電球と化す。そして輝きが消え去るとともに、ドラゴンは焦げた臭いを漂わせながら、ゆっくり落ちてきた。 「これは……」  異臭に顔をしかめ、【あなた】は息を飲む。 「どう、これで分かったでしょ。私の特訓の成果よ」 「今のって、ひょっとして……」 「そう、ムーヴを覚えたのよ」  その言葉に【あなた】は小さくうなずいた。  ムーヴとは修練を積んだベオウルだけが使えるようになるとされる、スピリットを利用した奥儀のことだ。  肉体を覚醒させ瞬間的に力を引き出す技や、魔法のような技。いずれにしても、一撃でドラゴンを葬り去るほどの強力な技と聞いている。 「秘密の特訓って言うのは、ムーヴことだったのか」 「そういうこと。ちなみに今のは“サンダースピア”って技ね」  ドラゴンに突き刺さった槍を掴み、少女が片目をつぶって笑顔を作る。 「槍から電気を発生させて、敵に投げつける技よ。威力のほどは、まあ、見ての通りね」  槍が引き抜かれるとともに、ドラゴンの身体が砂のオブジェのように崩れていく。内部にまで真黒になるまで焼かれたドラゴンの身体は、完全に炭となっていたのだ。  これがムーヴの力。話には聞いていたが、まさかこれほどの威力があるとは思わなかった……。  今、倒した敵もソルジャードラゴンには違いないが、そう易々と倒せる相手とは思えない。  少なくとも【あなた】自身、一撃でドラゴンを倒すなどという芸当、真似できるものではなかった。 「君のこと誤解してたよ。本当にすごい特訓をしていたんだな」 「な、なによ急に、気持悪いわね……」 「いや、素直に大したものだと思ったから」  と、これは本心からの言葉。  もっともそれを言われた少女の方は、照れくさいのかなんなのか、頭をかいてばかりのようだが。  それからこほんと、咳払いを一つして。 「別に無理にとは言わないけど……。良かったら、教えてあげてもいいわよ?」 「えっ?」 「い、いや……。だから私のムーヴよ」  今一度、咳払いを混ぜながら。 「どうせムーヴを覚えただけで、あんたに勝ったなんて思ってないわ。むしろ、あんたもさっさとムーヴを覚えてくれた方が、ちゃんと張り合えるからね」 「なに、その理屈?」 「う、うるさいわね。あたしが教えてあげるって言っているんだから、素直に頭を下げればいいのよ」  イマイチなにが言いたいのか要領を得ないのだが、とにかくムーヴを教えるつもりでいるらしいのはよく分かった。  まあ、彼女の言動が掴めないのは、今に始まったことではない。ムーヴを身につけたことを除けば、彼女は以前にあったとおりのままなのだ。 「で、どうするのよ。教わるのか、教わらないのかはっきりしなさいよ!」  すでに脅しの勢いだ。  そんな彼女の剣幕に流されつつも、あなたの返事は―― ――――――――――――――――――――――― 「マスターより」  この初期情報はムーヴの紹介用テキストです。各シナリオとは関係しませんので、ご了承ください。 『サンダースピア』  電気をまとわせた槍を敵に投げつけ、大ダメージを与えます。 ■関連行動選択肢 M018800 ムーヴ修得の旅に出る (担当:???/地域番号:???) 備考:ムーヴ修得のための専用の行動選択肢です。一定の確率でムーヴの習得に失敗します。またムーヴをすでに修得している場合、より習得に失敗しやすくなります。  希望するムーヴがある場合は、その名前をアクションシートに記入ください。高い確率で希望のムーヴを獲得できます。  なお、無記入や存在しないムーヴ、トリガーの合わないムーヴ名が記入されている場合、取得できるムーヴはランダムとなります。  また、この行動選択肢のリアクションは、基本的に小説形式ではなく、PCの描写はありません。 ――――――――――――――――――――――― ここに掲載されている行動選択肢は、『どらごにっく★あわー! 〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜』の公式サイト(本サイト)に掲載されない場合があります。 ――――――――――――――――――――――― 個人としてゲームを楽しむための交流の範囲を越えない場合に限り、この「初期情報」の複製、サイトへの転載を許可します。著作権等の扱いについては、本サイトを参照ください。 copyright 2009-2010 ELSEWARE, Ltd. ―――――――――――――――――――――――