どらごにっく★あわー!   〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜 ●初期情報 No.Z001303      担当:菅野紳士 ―――――――――――――――――――――――  【あなた】はとある山小屋に住む、一人の老人のもとを訪ねていた。  手には楓の木で作った『杖』。トリガーを携えて。 「また来たのか……」 「はい。あなたから教えを請うまでは、何度でもお伺いいたします」  灯りのない薄暗い部屋の中。外の月明かりだけを光源として、老人のシルエットがぼんやりと浮かんでいる。  苦々しく渋らせた老人の声に反して、【あなた】は真摯な態度を崩さない。 「あなたはかつて、様々な魔術を研究し、それを弟子に授けてきたという偉大なお方。今のこの混沌とした世界を救うためには、あなたの知識が必要なのです」  言葉にするにつれて、自然と杖を握る手に力が入る。  魔女であったという祖先から密かに受け継いできた、炎の魔術。  決して表に出すことのなかったこの力を、ドラゴンを倒すために使うことができるのは、【あなた】にとって何よりの誇りだった。  しかしその魔術でさえ、決して万能なものではない。  炎を跳ね除ける凶暴なドラゴンもいた。空を舞う翼竜であれば、その動きを捉えることができなかったことも。  自分の力が通用しない強敵を前に、【あなた】は何度となく悔しい思いをしてきたのだ。 「もっと力が必要なのです。あなたが編み出したムーヴのような……」  ムーヴとは、修練を積んだベオウルフだけが使えるようになるとされる奥儀。  そして【あなた】が戦場で初めて見たそれは、今まで学んできた魔術を遥かに凌駕するものだった。  巨大なドラゴンを一瞬で飲み込んでしまった灼熱の炎。それは暗闇を昼間に変える太陽のようでもあった。  一瞬だけ現れ、消えた、滅びの太陽が過ぎ去った後に、ドラゴンの痕跡は骨一つ残っていない。  全てを灰にして、消し去ってしまったのだ。  術の使い手はこの技を“カオスフレア”と呼び、【あなた】に老人のことを教えてくれた。  気難しい人だが、君なら絶対に認めてもらえるはずだ、と。  凄腕ベオウルフの言葉を信じて。 「どうか、“カオスフレア”教えてください」  深々と頭を下げる【あなた】に対して、老人はため息にも似た声をもらす。 「君はなぜ、私から魔術を学ぼうとする」 「それは――」  世界を救うため。そう続けようとした、【あなた】より先に。 「魔術は恐ろしいものだ。本来、人が持つべき力ではないと、私は思っている」  そう告げた老人の言葉に、【あなた】は声を詰まらせた。  魔術は恐ろしいもの。  彼は現代に生きる偉大な魔術師の一人。そんな人間の口から出たとは、到底思えない言葉だった。 「確かに強力な魔術を持ってすれば、ドラゴンを倒すのも容易いこと。それは人を守る大きな力となるであろう」  老人が背を向け、部屋の奥へと進む。  どうやらテーブルの上に置いた、ランプを灯そうとしているらしい。 「しかし、その使い手が一つ道を誤れば……」  マッチを擦る音とともに、部屋の中がぼんやりとした灯りに包まれる。  そして暗がりから照らしだされた老人の顔を見た瞬間。【あなた】は、はっと息を飲んだ。  ひどい火傷だ……。  顔の原形をとどめないほど爛れた皮膚は、肉の一部が剥がれ落ちて、焦げた骨まで見えている。  火傷の痕はそのまま首筋に達している。おそらくはローブの下の全身にまで広がっているのだろう。 「その傷は……?」 「かつて私の弟子であった男に負わされたものだ。奴は魔術を、人を支配するための力にしようとしていたのだろう」 「それで師匠である、あなたを……」 「バカな男であった。力の使い方を誤まれば、スピリットが失われ、やがては二度と魔術を発揮できなくなると言うのに……。だが、強力な魔術というものは、そんなことさえ忘れさせてしまうほどに、恐ろしい誘惑を秘めているということだ」 「………」  老人の言葉に静かにうなずき、【あなた】は自分の胸に問い質した。  自分が求めているものは、本当はなんなのか。何のために使うべきものかを理解しているのか。  顔を上げると、老人の灰色の瞳がじっとこちらを見据えていることに気づく。  彼も見極めようしているのかもしれない。【あなた】の本質が、正か悪かを。 「君はどうしても“カオスフレア”を学びたいのかね?」 「………」 「君は魔術のもたらす誘惑に魅入られないと、自信を持って言えるか。今一度、君の口から聞かせてもらいたい。だが、私の話を聞いて、もし考えが変わったのであれば、今すぐここから立ち去りなさい」  老人の声は優しいものだった。  今までの無下に突き返そうとする棘はない。  【あなた】がどちらの道を選んでも後悔しない。そんな覚悟が感じられた。  正義のために使うべき強大な力。それに振り回されてしまうかもしれないという恐怖。  戦場で肌に感じたムーヴの記憶と、目の前の老人の姿とを照らし合わせ、【あなた】は深くそのことについて考えた。  そして【あなた】の辿りついた結論は―― ――――――――――――――――――――――― 「マスターより」  この初期情報はムーヴの紹介用テキストです。各シナリオとは関係しませんので、ご了承ください。 『カオスフレア』  通常の攻撃よりさらに強力な炎を放ち、相手に大ダメージを与える秘術です。 ■関連行動選択肢 M018800 ムーヴ修得の旅に出る (担当:???/地域番号:???) 備考:ムーヴ修得のための専用の行動選択肢です。一定の確率でムーヴの修得に失敗します。またムーヴをすでに修得している場合、より修得に失敗しやすくなります。  希望するムーヴがある場合は、その名前をアクションシートに記入ください。高い確率で希望のムーヴを修得できます。  なお、無記入や存在しないムーヴ、トリガーの合わないムーヴ名が記入されている場合、修得できるムーヴはランダムとなります。  また、この行動選択肢のリアクションは、基本的に小説形式ではなく、PCの描写はありません。 ――――――――――――――――――――――― ここに掲載されている行動選択肢は、『どらごにっく★あわー! 〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜』の公式サイト(本サイト)に掲載されない場合があります。 ――――――――――――――――――――――― 個人としてゲームを楽しむための交流の範囲を越えない場合に限り、この「初期情報」の複製、サイトへの転載を許可します。著作権等の扱いについては、本サイトを参照ください。 copyright 2009-2010 ELSEWARE, Ltd. ―――――――――――――――――――――――