どらごにっく★あわー!   〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜 ●初期情報 No.Z000800      担当:山城一樹 ―――――――――――――――――――――――  案内役の黒服に、重々しいオーク材の扉の前まで案内された。扉を開き、屋敷の室内に入るときの蝶番の軋み音まで重々しい。  その中に入った【貴兄】は、ごくりと喉をならした。  【貴兄】は、このたび正式にSDDへ所属することとなった。その入団式を行なうのだ。そのために、SDD本部の屋敷へ訪れたのだ。  淡い照明に照らされたそこは、豪奢な一室である。照明は、円卓中央に置かれた燭台の蝋燭だけだった。  中央に真っ白なテーブルクロスがしかれた円卓には、一癖も二癖もありそうな男女が居流れている。パリッとした夜会服を着た男だったり、扇情的なナイトドレスの女性だったり、様々だ。  ただ、【貴兄】から見て最も奥まった位置にあたる二席は、空席だった。  場所を考えると、ドンは不在なのだろうか。そう思っていると、葉巻をくゆらせている男が、怪訝そうに【貴兄】に声をかけた。 「兄弟、何をしているんだい? 早く、ドンに挨拶をしないといけないよぉ〜?」  奥まった席にいる、口ひげふとっちょの男が、奥の空席を指さす。この口ひげは、SDDのナンバー2の『副ボス(ソット・カポ)』のサルバトーレ・フェレロ[−・−]だ。  ドンはいるのか? SDDの総帥にしてヴィンチトーレ一家の領袖――ドン・ヴィンチトーレ[−・−]は。いったい、どこなんだ?  不作法にならないよう気をつけながら【貴兄】が円卓の奥へ近づいていく。そして、円卓に座る列席者の顔を横目で盗み見ながら空席のほうへ近づいていくが……  やっぱり、空席は空席のままだった。  どうしたものかと反応に困る【貴兄】の裾をくいくいと引っ張る、小さな手。  そこで視線を低くした【貴兄】の目に飛び込んできたのは、熊のぬいぐるみを抱いた一人の少女だった。白人だろうか、ロングヘアは黄金色に耀いており、きめ細かい肌には若さが漲っている。白皙の肌と黒いゴシック調のワンピースが照り映えていた。  空席二つのうち、主賓席にあたる位置にこの少女は座っていたのだが、部屋の薄暗さと少女の小ささのせいで気付かなかったのだ。  しかし、まさか……この人形のように愛くるしい少女が、ドン? 「よく着てくれたわね。歓迎するわ。あたしはドン・ヴィンチトーレ。“ねえさま”と呼んでね」  少女――自分よりもはるかに若年なこの少女がSDDの総帥であることに驚いていると、少女はこちらの心を見透かしたように、微笑んできた。  ドン・ヴィンチトーレのウワサは、耳にしていた。強力なスピリット、トリガーの持ち主であるだとか、かつてジェネラルドラゴンと戦闘し、会話をかわした数少ない人物だとか。そして、部下の裏切りや失敗には容赦のない冷酷な人物だとか、この少女が当代となったとき、周囲の親族が死亡し、その死因が明確になっていないだとか……  しかしこの姿のなんと裏腹なことか。 「ドンは……その、これから儀式……」 「“ねえさま”でしょ」  ドンの言葉に逆らえず、【貴兄】は指示通り、少女を“ねえさま”と呼んだ。すると、ドンもとい“ねえさま”は、そう呼ばれたことにはにかんで、 「えへへ……」  照れたように髪を弄んでいた。 「ドン……こほん、“ねえさま”そろそろ入団の儀式を」  側近に促され、“ねえさま”は卓上の燭台をとって、顔の前にかざした。サルヴァトーレが聖書を一ページやぶいて“ねえさま”に手渡す。  燭台の火で紙片に点火すると、“ねえさま”はそれを【貴兄】の掌の上に置いた。熱いが、ガマンする。 「リピートアフターミー。  ――ドラゴンは殲滅すべき悪魔の化身なり」  “ねえさま”の言葉を復唱する。 「仲間の流した血は咎人の血で贖うべし」  また、復唱する。 「死に臨んでも誇りと品位を忘れることなかれ」  これを復唱した頃には、掌の炎が消えた。 「引金をひく指を出しなさい」  右手の人差し指を、ナイフで薄く切られた。血がにじむ。 「家族を守るためにトリガーを引きなさい」  右手で、拳銃のトリガーをひく仕草をすると、“ねえさま”も右手の人差し指を切り、【貴兄】の指にからめてきた。人差し指での指切りげんまんといったところか。【貴兄】と“ねえさま”の血が混じる。 「これがファミリーの血よ。そしてあなたの血もファミリーの血になる。あなたが血を流せば、それはファミリーの痛みだし、あたしもとっても哀しいわ。  ファミリーの繁栄はあなたの繁栄。だから、ファミリーのために頑張ってね」  これで、入団の儀式は終わりだった。  もう一人のナンバー2――ステファノ・コルレオーネ[−・−]は、任務のため不在だそうだ。ドンもとい“ねえさま”も忙しく、ほとんど本部に顔を出さないらしい。またドン直属の戦闘部隊も、不在である。どこに行ったのか、また任務の内容については末端まで降りてきていない。  WOP――もとはイタリー系移民への罵倒語だった言葉を冠する精鋭部隊が、ドン直属の親衛隊だった。指揮官にあたるのは、ステファノである。  それが本部に一人もいなくなっているのだ。  ただ、幹部のサルヴァトーレだけは、さすがにドンと密に連絡をとっているようだった。事情も全て把握しているのだろう。  だが、必要のないことはしゃべらない。  さて、自分はいったい、さしあたって何をすればよいのか? 【貴兄】はサルヴァトーレに聞いてみた。 「う〜ん。それが特にやってもらうことないんだよねぇ。本部の事務仕事は全部ボクちゃんがやってるから。なんて働き者なボク。  だから、外に出てドラゴンを狩るくらいしかないから、そのあたりは自分で探すといいよ、グラッチェ」  とのことだった。本部で雑用をこなしてもあまり貢献にならないだろうし、ドン・ヴィンチトーレやステファノが本部不在の状況だから、情報を集めることもできはすまい。  自分の活躍はファミリーの活躍。なら、自分が諸所でドラゴンを狩れば、それがファミリーへの貢献につながるのだろう。  なら、【貴兄】のとるべき行動は…… ――――――――――――――――――――――― 「マスターより」  はじめまして。もしくはいつもお世話になっております。マスターの山城“アンタッチャブル”一樹です。  本編は、ユニオン『SDD』についての紹介をメインにした初期情報です。  初期設定中の重要人物は、本編登場の、ドン・ヴィンチトーレと、事務屋系ナンバー2のサルヴァトーレ・フェレロ、武力系ナンバー2のステファノ・コルレオーネの三名です。本部のほうは、デスクワーク担当のサルヴァトーレが、本部付近ではメインNPCとなります。  ドンとステファノは、山城担当シナリオで主に登場する予定です。だから、本部へのアクションでドンにからむとかステファノに絡むというアクションは無効となる可能性がでかいので、気をつけて下さい。  ドンとステファノのミッションについては、山城担当の別初期情報にてヒントが出ているので、気になる方はそちらをご参照下さい。  本部にからむアクションをどうしてもかけるという場合は、下記行動選択肢をお選び下さい。 ■関連行動選択肢 X018807 SDDのベオウルフとして行動する (担当:???/地域:???) 備考:主に、ユニオンの構成員に対してアクションをかけたい場合に選択する行動選択肢です。地域名はアクションに応じて記入ください。  既存のシナリオや、すでにある行動選択肢などの枠にとらわれないアクションに挑戦したい、上級者向けの行動選択肢です。  すでに存在する行動選択肢で事足りる内容と判断されるアクションだった場合は、不採用になる場合がありますので、ご注意ください。  アクションが不採用となった場合は、不採用アクション用のリアクションが送付されます。 X019900 その他の自由行動 (担当:???/地域:???) 備考:既存のシナリオや行動選択肢などの枠にとらわれないアクションに挑戦したい、超上級者向けの行動選択肢です。自分の意志で世界を、物語を作っていきたいというコアでディープなプレイヤーにお薦めです。  ただしアクションが採用されなかった場合は一切描写されず、不採用アクション用のリアクションが送付されます。  すでに存在する行動選択肢で事足りる内容と判断されるアクションをこの行動選択肢に送った場合は、それだけで不採用になります。  また必ず行動する地域番号を記入ください。行動する地域によって、採用率は変わります。 ――――――――――――――――――――――― ここに掲載されている行動選択肢は、『どらごにっく★あわー! 〜竜を退治するだけの簡単なお仕事です〜』の公式サイト(本サイト)に掲載されない場合があります。 ――――――――――――――――――――――― 個人としてゲームを楽しむための交流の範囲を越えない場合に限り、この「初期情報」の複製、サイトへの転載を許可します。著作権等の扱いについては、本サイトを参照ください。 copyright 2009-2010 ELSEWARE, Ltd. ―――――――――――――――――――――――