――花見会場 ア すっごい人がいるね。 カ このあたりは有名な花見どころですからね。 帽子 あ、女王がいた! 赤 なにやってるの、遅いわよ。 これ以上待たせたら、誰かひとりの首をちょんぎってやるところだったわ。 ア はー良かった!そんなことにならなくて。 じゃあ早速はじめましょ! 時計 僕はお腹がぺこぺこです。 マ 私もー! カ ん?あの方は・・・? 赤 あれはうちの王室が使ってる茶器の九十九神。私の執事みたいなものよ。 ティー ウェッジと申します。以後、お見知りおきを。 カ な、なぜかとてつもない違和感があるのですが。 ティー おほほ、なんのことでしょう。おほほほ。 人違いじゃありませんこと。 決して勝手に自分の枠をつくったりはしてないんだか――しておりませんわ。 カ は、はぁ・・・。 赤 どうでもいいけど、ちゃんと持ってきたの? ※ティーセットのウェッジの台詞になっているが、おそらく赤の女王の間違い ティー はい、今宵の花見の席を彩る、最高級の茶器をご用意致しました。 ぜび、お使いください。 ア すごーい!金ピカ!キラッキラ! タ あ、あの!お待たせしました!スイーツの詰め合わせを作ってきました! 赤 タルト、今日こそは一流のスイーツをつくったんでしょうね? タ はい!できました! ハ 女王、私が保証します。 赤 ふん、これが最後のチャンスと思いなさいよ。 カ わーい!美味しそうなスイーツがたくさんです! ア じゃ、みんな準備はいい? せーの・・・ カ かんぱーい! ・・・ ・・・ ・・・ ア はー、やりきったー! カ どどどどうですか・・・?記憶、戻りそうですか? ア ・・・・・ 別に、なんともないわね。 カ あれれ、皆さんはどうです? マ 特に。 時計 えーっと、何もないですね。 カ ・・・・・ ・・・・・ ア ま!いいってこと! 忘れてしまったのは本当に悲しいけど、今があるもの! マ うんうん、すっごく楽しかった! ア それに、女王は覚えてくれてるみたいだし。 赤 知りたい?忘れてしまった過去のことを。 ア ううん、いいの。それじゃ、なんだかズルしてるみたいだもの。 もうこの先、同じ事をしないように忘れたままにしておく。 いつか想い出せる時がくるかもしれないし! 帽子 なるほど。アリスならきっとできるだろうさ。 ア うふふ、ありがとう。 時計 あ、あれ!?アリス、なんか体が光ってない? 帽子 うぉ、眩しい! ア な、なにこれ・・・!? きゃああ! カ ナメクジ怪獣まで光り始めましたよ! ド オォォォォォオ!! カ わあああ! 赤 受け入れる覚悟を、認めたのね・・・。 これで、もう大丈夫―― 光はますます勢いを増し、あたり一帯を覆った―― カ っ・・・! 時計 い、いったい何が・・・!? マ 大変!アリスがいない!! カ いつの間に!?誰か見かけなかったんですか!? マ 見てた? 時計 いや・・・でもあの時もこんな感じでいきなりいなくなったんだよね。 マ そうそう、たしか・・・あの御方と裁判をしている時に―― カ みなさん、昔の事を思い出したんですか!? マ ! そういえば! 時計 アレもコレもソレも、すっかり思い出してる! 赤 ふふふ。 きっとアリスは戻ったのさ、元の世界に。 あの子が本当の意味で大人になったということかもしれないね。 時計 じゃあ、僕たちの事を完全に忘れちゃったってことですか? 赤 いいや、それは違う。 戻ったのさ 元の自分に、元のアリスにね。 ――東京、ヒナタ邸宅 カ 楽しかったですね、花見! みなさん仲良しで、まるですっと昔から一緒にいるかのようでした。 絆っていうのは、記憶ではない所にあるんですよね。 カガミとあるじも、そんな風になれると嬉しいです! えへへ。 ・・・なんか恥ずかしい事を言った気がします。アワワ。 い、一日中騒いだのでカガミはちょっと疲れてしまいました! ぬくぬく布団でぐっすり眠るとします! ではあるじ、オヤスミナサーイ!