カ アリスさん、 聞いてもいいですか? 何が、わかったのか。 ア うん、それはね、私が私である為に必要なもの。 カ アリスさんが、アリスさんである為に――? ア そう。 それは・・私のドレス。 あれを着てると、大人になれた気がした。 一番のお気に入りだったドレス。 あのドレスを着た私こそ、アリスとして成立する。 そういうことなのかなって。 カ ドレスを着ていないから、記憶が抜けてしまっているってことですか? ア たぶん・・・いや、きっと! カ じゃあドレスを着れば解決ですね!で、そのドレスはどこに? ア ・・・ カ もしかして・・・? ア 捨てちゃった・・・。 時計 なんで、そんな大切なものを捨てちゃったのさ? ア それは・・。 (あの服を着て、何度も夢を見た。) (ドレスを着て、お姉さまのお膝でひなたぼっこしていた時に。) (とても愉快で、楽しい夢だった気がする。) (でも・・・大人になり始めた自分にとって、子供じみた夢と妄想と、それを楽しんでいた自分は・・・) (すごくすごく、恥ずかしいものに思えてしまったんだ・・・) カ ・・・ 赤 大人になるということは、魂を失うことなのさ。 ア !? 赤 やっとわかったのかい、アリス。 そこまで思い出したのなら、すべてを話してあげてもいいわね。 カ 女王さん!