―忍びの里 某所 佐助 ここがこの里でも一番深いところか? 才蔵 そうらしいが、目で見えるものが全てとは限らんさ。 佐助 にしても、手薄だな。陰陽師たちが出張っているとはいえ、不用心すぎないか? 才蔵 ・・・どうやら、俺たちは誘い込まれていたらしいぞ、佐助。 佐助 ん? 柳生 猿と霧か。いまだよろしくやっているとは意外だった。 佐助 馬鹿野郎!こいつが勝手についてくるだけだ! 才蔵 なんだと、貴様だって俺のお面の真似をしたくせに! 柳生 私はかつてお前らを買っていた、それはある種の尊敬といえたかもしれん。 だがそれは大きな勘違いだったと今わかった。 佐助 芋臭い風習はごめんでね、好き勝手楽しませてもらってるよ。 柳生 真田の猿め、里が知れるぞ。 佐助 おう、言え言え。吠えたところで時代の怨念に縛られて、取り残されてるのはお前たちだ。 柳生 忍びの心を捨てたものに、我らの生き方をとやかく言う権利は断じて無い! ・・・狙いは、小太郎か? 才蔵 ああ、甲賀の王・・・いや―― 甲賀の女王を返してもらう。